テープ起こしの音の世界

五感とは、動物や人が外界を感知するための感覚機能を5種類に分類したもので、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をいいます。人間は音を聞き、この五感、特に視覚と聴覚を使って、その意味を理解します。耳で話を聞き、目で見た人の表情、口の動き、しぐさなどから、その言葉に含まれるニュアンスや感情をも推察します。

例えば近くで道路工事をしていて工事の音がするとしましょう。それで時折ちょっと聞き取れなかったとしても、あやふやだった音声は、口の動きや表情、手の動きなどの視覚の情報源から明確な意味を持った言葉として認識されます。それは意識せずとも自然に行われ、その場のあらゆる情報から必要なものをチョイスしています。わからなければ、目の前に相手がいるのですから聞き返すこともできます。

では、触覚、味覚、臭覚はどうでしょうか。話を耳で聞いて、目で見て確認して、さらに触って、味わって、嗅いで、実体験を伴って正確に物事を理解していきます。話を理解する上では付随的であるようでも、その真を理解するためには欠かせないものです。触る、味わう、嗅ぐという体験を加えることでより理解が深まります。

では、テープ起こしの世界はどうでしょうか。録音された音を文字化していくテープ起こしは、全く音だけの世界になります。ビデオであれば画像がありますが、そのほかは音のみです。基本的に音からすべての内容を理解することになりますので、ただ1つの情報源である音はとても大切なものとなります。たとえ録音状態が悪くて音があやふやであっても、その場で聞き返すことはできません。ビデオの画像に口の動きが映っていれば、これで確認することもできないことはありませんが、その言葉すべてを口元で読むのはまず無理でしょう。まず第一にしっかりした音で録音することは必要不可欠です。

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