日本語の中には、同じ音・読みで意味も似ているけれども、ニュアンスが微妙に違うことから表記の使い分けが必要な言葉がたくさんあります。
例えば「意思」と「意志」、「異常」と「異状」、「夏期」と「夏季」、「規定」と「規程」、「成長」と「生長」、「制作」と「製作」などです。[タイセイ]もその1つで、放送の現場でも迷ったり誤ったりしやすい語です。その語意と表記の用例を以下に示します。
体制 [統一的、持続的な組織・制度、長期的な仕組み、システム]
政治~ 支配~ 社会~ 責任~ 新(旧・現)~ 反~ ~側(派)
戦時~ 資本主義~ ベルサイユ~ 幕藩~
態勢 [一時的・部分的な対応・身構え]
受け入れ~ 独走~ 臨戦~ 厳戒(警戒)~ 着陸~ スト~
選挙~ (○○選に向けた)~固め(づくり)
体勢 「体の構え・勢い・姿勢、フォーム」
射撃~ ~が崩れる 有利な~ 得意な~に持ち込む
大勢 [おおかたの形勢、物事の成り行き]
時代の~ 選挙の~(判明) ~を決する ~に従う
~に影響がない 賛成(反対)意見が~を占める
* 警備[タイセイ]や24時間[タイセイ]などは、それが長期的なのか短期的・一時的なのか内容や状況によって「体制」または「態勢」のいずれかに書き分ける必要があるでしょう。例えば、「24時間タイセイ」について、永続的・恒久的に24時間シフトを敷く場合には「24時間体制」、臨時または短期的に24時間シフトを敷く場合には「24時間態勢」となります。
* また、同じ「大勢」でも[オーゼイ]と読めば、「多くの人数」の意味になります。
(『NHKことばのハンドブック 第2版』p.122参照)