情報化社会における文字起こしの変革
文字起こしという業務を始めて早26年となりました。皆さまには長きにわたりご愛顧いただき誠にありがとうございます。
さて、2023年の媒体比率は、ビデオカメラやZoomなどの動画が80%、ボイスレコーダーが20%です。第1期全盛であったカセットテープ、第2期王座のMD、そして第3期はICレコーダーが首位を占めるようになり、そして四半世紀後の2023年には、ビデオカメラやZoomなどの動画が8割を占めるようになりました。コロナ禍の中、Zoomなどを利用する機会が増えたことも動画の増加につながりました。
カセットテープの音声を文字原稿化することから生まれた「テープ起こし」という呼び名は、情報化社会の発展により録音機種も多種多様に変化してきました。今やボイスレコーダーはインタビューや会議などの記録には欠かせぬアイテムとなり、画像と音声を記録する動画も手軽に使われるようになり、当事務所では「テープ起こし」の呼び名から「文字起こし」へ変更いたしました。
録音・録画機器の進化と時を同じくして、コンピューターやインターネットをはじめとする情報技術の発展・普及に伴うIT革命により文字起こしの業務スタイルも大きく変化しました。手書き原稿の時代からワープロへ、そしてコンピューターに入力して原稿を納品するという作業工程はもちろんのこと、加えてインターネットを経由して音声や画像を一瞬にして送ることができるようになりました。今までは音声や動画の引き渡しには必ず輸送が必要でしたが、インターネットを経由することにより輸送コストと輸送日数を削減できるので、これはお客さまにとって、より早く、より低コストという大きなメリットにつながりました。さらにICレコーダーの録音機能がますます向上し、場面に合わせた録音を選択することによって、よりきれいな音声を捉えることができるようになりました。こうしたボイスレコーダーの機能向上は文字起こしの質の向上に直結し、お客さまの満足度はより高いものとなりました。
「文字起こし」とは、録音や録画されたメディアを文字化して原稿を作成する技術です。昔ながらの「テープ起こし」という呼び名に加えて、IC起こし、音声起こし、MD起こし、DVD起こし、ビデオ起こし、動画起こしというように言われることもあります。ほかには、文字おこし、原稿おこし、録音おこし、書きおこし、音声おこし、逐次反訳、録音再生原稿、録音再生、テープライター、トランスクライバー、ボイスライターといった呼び方もあります。また、テープお越し、テープオコシ、てーぷおこし、テープ興し、テープおこしという表記も見られます。英語ではtranscriptionと呼ばれます。業種区分では、文字を記録することから「文書記録」「文書作成」、または「速記」に分類されます。
このようにさまざまな呼び名を持つ「文字起こし」は音声を文字化して記録する業務として、情報化社会のめざましい発展とともにより速く便利になりました。今後もインターネットの活用によって時間と距離を超えて、皆さまのより身近な存在として、ますます効率的な業務活性につながるものと考えています。