テープ起こしの世界はどんな世界でしょうか。
ビデオテープは画像がありますが、カセットテープなどのテープ起こしは音だけの世界ですから、非常に限られた世界です。
全く「音」だけ。
そのたった一つの情報源である「音」から、私たちテープ起こし屋は「音」の周りにあるすべての状況をつかもうとします。その作業中は、もう体全体が耳だけになってしまったような感じさえします。
録音状態がよくない場合は、その発音や抑揚、話し方の癖、そして前後の内容から、言葉を拾い上げつなぎ合わせていく作業が終始続きます。この場合には通常の2倍から3倍の時間と労力がかかります。
テープ起こしは「音」が命です。
そして、どんな場合でも会話の内容を忠実に再現しなければなりません。
たとえ聞き取れなくても、たぶんこんなことを言っているのだろうという憶測で、原稿に書き加えることは御法度です。
テープ起こしの任務は、「あくまでも、その場を忠実に再現すること」にあります。